泣きました…
自宅では観ないのに
映画館という空間で見る映画 が結構好きです。
たいていはレイトショー。
何かが観たいというのはなく、
その日上映しているもので、気分に合ったものをフラリ観に行くスタイルです。
そんなスタイルなのですが、先日たまたま観た「この 世界の片隅に 」
ホロホロと涙が止まらなくなった、本当に心を動かされる映画でした。
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広島の江波とか呉とかが舞台。
すずさん、という主人公のありのままの日常生活の視点から「戦争」を描くストーリーです。
暴力や戦闘シーンや大きな音が苦手なワタシでも、
目を逸らさずに観れたほどの平かでまったりした映像。
「かもめ食堂」とか、そういうシーソーの上も下も無きひたすら水平な日常を描くのに近いトーンなのですが、その背景には「戦争」が。戦時中、目の前の世界を前提無しに見て絶望も希望もなくただただ生活している、生きている、市井の人々の暮らし。今まで私が観た戦争作品の中で一番「戦争色」は弱いかもしれないけれど、普通の人々の日常が社会に否応無しに翻弄される「戦争」の確信をついており、最も戦争が「自分ゴト」に落ちてきた作品かもしれません。「戦争」がもたらす「悲しさ」が心の底の方からじんわりと広がるような。
そして、舞台が広島の江波や呉だったことも。
神戸に戻ってすっかり影が薄くなってしまった広島での生活のこと。江波という地名や、映像でみる呉の山の景色に懐かしさも感じ、リアリティがありました。とくに映像で象徴的に使われていた呉の山の景色。良い山だな…と思って眺めていた正にあのカタチだったので、自然の普遍性と戦争との対比に人間の愚かさのようなものが感じられました。
昨年亡くなった伯母が、戦時中、呉の坂の上の家に住んでいたことがある、と 私が広島に赴任する前に話してくれたこと、伯母が話すポジティブな昔話が大好きだったなと、想い出したり。そして、どうして広島にいる間に彼女を呉に案内できなかったのかなぁ…などと悔やむ気持ちが湧いてきたり。
1月は神戸の人にとっては阪神大震災を思い出す月なのですが、焼け野原となった呉の街の風景に、自分の街が崩壊する悲しさを思い出したり…
いろーんなことが重なったのか、
涙腺がユルい時期だったのか、
涙がホロホロととまらず…
頭ではなく、心に直接しみこんでくる
良い涙活となりました。